エネルギーは、細胞のミトコンドリア内のTCAサイクル(別名:クエン酸回路、クレブス回路)という回路で作られます。私たちの身体は、60兆個の細胞が重なって出来ていますが、TCAサイクルはこの全ての細胞の中で行われている代謝です。

 食事で摂取した栄養のうち、三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質はそれぞれブドウ糖、アミノ酸、油脂酸・グリセロールに分解され細胞の中に入り、アセチルCoAといものになってTCAサイクルに入りエネルギーを生成します。

 この回路がうまく回ることで生命活動に必要なエネルギーを作り出していくのですが、回路にエネルギーの材料が入らない・回路がうまく回らない等の原因によりエネルギーを十分に作り出せなくなると、エネルギー不足による疲労感・だるさ・集中力が続かない等、さまざまな症状が引き起こされます。

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参考文献:http://www.arist.co.jp/TCA/ 

炭水化物(糖質):主要なエネルギー源
 炭水化物は消化分解され、最終的には最も小さいブドウ糖となります。このブドウ糖が、主にTCAサイクルのエネルギー源として使われます。
 運動時など、大量のエネルギーを必要とするときにはブドウ糖を確保する他の経路があります。筋肉に蓄積されたグリコーゲンという糖の貯蔵をブドウ糖に戻す反応です。その際に乳酸という筋肉痛や肩こりの原因になる物質が発生しやすくなります。このときにビタミンB群(特にナイアシン)を補給すると乳酸がピルビン酸へと変わり、再度エネルギーへと使われるようになるので、筋肉の痛みが軽減されて楽になります。

たんぱく質:身体をつくる主成分・エネルギー源
 たんぱく質は、筋肉・骨・毛髪・ホルモン・酵素など身体の主成分となる栄養素ですが、たんぱく質が分解されて生じるアミノ酸の一部も総エネルギーの約12%に利用されています。
 アミノ酸は、インスリンを介せずにブドウ糖に替わる安定したエネルギー源であり、血糖値が下がりエネルギーが不足した際には、筋肉を分解してアミノ酸に変え、その一部をエネルギーとして用いることもできます。
 たんぱく質がエネルギーとして使われる際には、ビタミンB2やビタミンB6が必要となります。たんぱく質を摂取しても、これらのビタミンB群が不足しているとエネルギーとして利用することが出来なくなります。
 たんぱく質は、血液の中に少なくなったブドウ糖を補充するのにも使われます。

脂肪:細胞膜の主な構成成分・エネルギー源
 一般的に脂肪とは、中性脂肪を指します。中性脂肪が分解されるとグリセロール1つと脂肪酸3つになります。飢餓時・低血糖時・高血糖時・エネルギーの消耗が激しい時などには、脂肪酸もエネルギーの材料として使われます。脂肪が分解された後、脂肪酸は血液の中に入って利用されていきます。
 脂肪酸はカルニチンという物質と結合してアシルカルニチンとなり、ミトコンドリアの中へ入ることが出来ます。このアシルカルニチンの生合成や働きにはビタミンC・ビタミンB群が必要になります。ビタミンCが不足すると脂肪が燃焼しづらくなるので、エネルギー不足となり、労働を起こしやすくなります。

酵素と補酵素
 酵素は主にたんぱく質から出来ていて、摂取した栄養素を様々な物質に変化させる働きがあります。TCAサイクルがうまく回ると水素イオンが発生しますが、この水素イオンを受け取るのが酵素です。酵素に水素イオンが次から次へと受け渡されていくとエネルギーが作られます。
ほとんどの酵素は「補酵素」と結合することで初めて酵素としての機能を発揮します。補酵素は主にビタミンB群です。ビタミンB群が不足していると酵素が十分に働けないので、エネルギーを作り出せなくなってしまいます。そのため、TCAサイクルを円滑に回しエネルギーを作るためにはビタミンB群が必須となります。